手に何も持っていないことを何気なく見せてから空中に手を伸ばして何かをつかみ取ります。そして、手をむにむにしていると、ハンカチが現れるのです!
ハンカチの出現
サムチップについて
マジックをやっている方であれば、「サムチップ」を使ってこの現象を起こしていることはわかるでしょう。サムチップとは、親指にかぶせることができる親指型のフィギュアーのことです。
シルクやティッシュ、ひもなど、その中に小さくして隠せる物であれば、出現、消失、変化、再生、予言など様々な現象を起こすことができる優れものです。マジシャン必携のアイテムの一つです。
サムチッのプ魅力
その魅力は何といっても、近くで見てもその存在がわからないことでしょう。特に、マジックショーという場ではなく、スピーチの中で何気なく使用した場合、その存在に気づく人は皆無といっても過言ではありません。さらに、マジックスピーチで使用する場合、はじめから親指に装着しておくことも可能ですし、演台などがある場合はそこに置いておくだけで、原稿をめくったり、水を飲むときなど、自由なタイミングで装着ができるのです。
解説
使用する道具
何を出現、消失、変化させるかによって使用する道具類は少し変わってきますが、ここではタイトルの通り「空の手からハンカチの出現」について解説します。
ハンカチ
お勧めはマジック用のシルクのハンカチです。柔らかくてかなり小さくしてサムチップに押し込むことができます。30cm角程度のシルクであれば、サムチップ内に隠し持つことができます。私は、マジックスピーチで使用する場合、20cm角の黄色のハンカチをよく使用します。通常のマジックで文字を書いたときにとても映えるからです。赤や青などではお客様から見て、文字がわかりにくくなります。
サムチップ
サムチップにも固さ、大きさ、長さ、色など様々な種類があります。このマジックに向いているのは、ノーマルタイプで少し柔らかさがあるものがよいでしょう。ただし、指にぴったりすぎると、ぴったりはまりすぎて親指からはずれにくくなることがあります。逆に大きすぎると、指から外れてしまうという危険性もあります。
セットアップ
使用する道具は、20cm角シルクとサムチッムの2つです。しかし、セットアップは重要です。流れの中でスムーズに装着したり、外したり、中のシルクを取り出しやすくするするためにセットアップは慎重におこないます。
シルクを入れるタイミング
シルクを仕込むのは、できる限り出番の直前を意識します。その理由は、
- 長時間入れておくとシルクが広がりにくくなり、シワがたくさんついて美しさに欠けます。
- 長時間はめていると、手汗で密着してしまい、外しにくくなることがあります。
シルクを入れる際の注意事項
マジック的には様々な方法があると思いますが、マジックスピーチに向いている方法を解説します。
- シルクは蛇腹的に折り組むように入れます。(シルクがきれいに出やすく、しわも減らせます)
- 親指の先端から腹の部分にかけて入れます。(先端に入れすぎるとシルクが取り出しにくくなります)
※文字を書いたシルクを取り出す場合は、取り出した際の向きがわかるような工夫が必要です。具体的には、取り出したときに一番最初に右手でつまむ端をサムチップの根元に来るように入れておくとよいでしょう。端に点を打ったり、小さい結び目を作っておくとどこをとっていいか迷うというミスを軽減できます。
演技
ここでははじめから親指にはめた状態での演技について解説します。スピーチの中でハンカチを取り出す場面が近づいて来ると同時に、指にはめているサムチップの状態を確認します。つまり、ある程度抜けやすい状態になっているか。また、すかすかして外れやすくなっていないかなどを話しながら確認します。ただし、絶対にサムチップを見てはいけません。
空中から!
スピーチの中で、ちょうど取り出すタイミングが来たら、
- サムチップをつけた手で空中を指さします。
- 視線も空中を追います。
- そして、実際に空中から何かをつかむように手を握ります。
シルクの取り出し
- その時に、サムチップを同時に外します。
- 握りこぶしの方を見て、手をムニムニします。
- 「おっ!何かあるぞ!」という演技をしつつ、シルクの端を確認します。
- 端をつまみ、5cm程度引き出します。
- 観客の方を見て「ねっ!何か出てきたよ!」と表情で訴えます。
- さらに端を引き出しつつ、字の面の表裏を確認します。
- 全て引き出し、字が観客に見えるように広げて整えます。
シルクを広げスピーチ
- 空のサムチップを広げたシルクの裏で軽く押さえて保持します。
- スピーチが終了したら、ハンカチと一緒にサムチップをポケットにしまいます。
※再び、シルクを消すという演技もできます。2で保持したサムチップを左手に握り込み、手を上下に軽く揺らしながらシルクに押し込みます。最後に親指で押し込んだときにサムチップをはめます。人差し指、中指でも押し込む演技をします。握った左手の拳に、ふっと軽く息を吐くとシルクは消えています。
留意点
あなたがスピーチの中でシルクを出すマジックをすることは誰も知りません。少々の失敗は気づかれません。ですが、初心者のうちは、やましいことをしている気持ちが勝ってしまい、「あっ!ちょっと失敗しました」とか「何か見えたと思いますけども…」などと言ってしまいます。
「追われてもいないのに逃げるな!」
というやつです。慣れてくると誰でもできるようになりますが、ミスを恐れずに堂々とやることです。しかし、堂々とやるためには練習が必要です。マジックスピーチの効果を体感するためには、やはり地道な練習が必要です。
まとめ
このマジック1つできれば、様々なスピーチに応用できます。マジックスピーチのスタートにはもってこいのマジックです。
- とにかくやってみましょう!
- 次に地道に練習しましょう!はじめは手が馴染みませんが、「おっ!」という瞬間が必ず来ますよ。
- 練習が自信を生みます。自信が新たな自信を生みます!
私のユーチューブチャンネル(なんでやねん56チャンネル)では、文章で説明しきれなかった部分や文章で表現しにくい部分も動画で解説しています。あわせて参考にして頂ければありがたいです。