「今度、簡単マジックを使ってスピーチをする予定だけれど、スピーチ会場について何を確認し、本番に向けてどんな工夫をすればいいのかわからない」
この記事ではそういう悩みに応えます。私自身も、マジックスピーチを始めたばかりの頃は、スピーチ会場に関する確認や工夫不足で何度も苦い思いをしてきました。
この記事では、簡単マジックを取り入れたスピーチ方法(私はこれをマジックスピーチと呼んでいます)を成功させるために必要な「スピーチ会場の事前確認と対策」についてお話しします。
この記事を読めば、リスクを抑えてマジックスピーチを成功させるために必要なことがわかります。
スピーチ会場の事前確認によって起こりうることを想像する
ただ「話す」だけのスピーチでは、会場の確認はそれ程重要ではないかもしれません。しかし、マジックスピーチは違います。「会場を知って、それに応じた準備や工夫」をすることがスピーチそのものの成功の可否を決めることがあります。
マジックスピーチは当然、スピーチのどこかで「マジックの現象」を演じます。屋外でのマジックスピーチはなかなか強敵です。特に、風、雨、暑さによる影響は計り知れません。
また、屋内でも演台はあるのか、観客との距離はどの程度か、観客はどこまでいるのか、マイクはスタンドかピンかヘッドセットは利用可能かなどを確認しなければなりません。
当然、「マジックの現象」を起こしやすい状況がベストです。しかし、それが困難な場合もあります。主催者さんにどこまで譲歩してもらえるのかを交渉したり、確定した状況の中で実際に起こりうるアクシデントを想定し、対策を講じておくことが安定したパフォーマンスには不可欠です。
マジックスピーチでは失敗は許されない
マジックスピーチでおこなう『マジックの現象』は、そのスピーチで一番伝えたいメッセージを効果的に伝えるためのツールです。
逆に言うと、『マジックの現象』をミスすると、効果は激減します。スピーチ後の観客に「変わったことをしようとして失敗してたな」という負の記憶を残すことになります。
経験上、マジックを失敗する大きな理由は2つです。1つは練習不足。もう一つは、本番を想定した準備不足です。
いくら自宅で練習を積み重ねても、それは自宅という室内、環境です。実際におこなう「会場の確認」を丁寧に行い、それに応じた準備と対策を講じておくことが「致命的なミス」を防ぐことになることになります。
実際、私は、屋外の集会でスピーチしたとき、最後の最後で大型シルクを取り出し、そこに書かれていたメッセージを見せて終わる予定だったのが、風にあおられてシルクが広がらないどころか、シルクが風に飛ばされるという決定的なミスをしたことがあります。
マジックショーとマジックスピーチでマジックを演じることの違い
マジックショーでは、30分くらいのステージで通常7~8個程度のマジックをおこないます。お客さんもマジックを目的に来ています。
もちろん、プロのマジシャンはミスをしない練習を積んでいます。ミスをしてもミスと気づかせないためのテクニック練習もしています。
具体的には、ミスをお笑いに変えたり、ミスした場合を想定したリカバリーの練習もしています。また、いかにもマジシャンという服装をしていても誰もおかしいとも思いません。
しかし、マジックスピーチでマジックを演じる場合は、1つのスピーチで1つのマジックを演じるのが通常です。しかも、マジシャンのような服装ではありません。しかし、必ず成功させなければなりません。
マジックをするとは思っていない時に、マジックをするからこそ、その反響が大きく、そのメッセージ性に感動し心を打たれるからです。
スピーチ会場と状況に応じた対策
マジシャンも本番前に必ず、会場、ステージ、マイク、音響・照明、お客さんとの距離や客席等の確認をします。
マジックスピーチをおこなう場合も同じです。その会場を事前に確認することによって、その会場の良さを生かす方法も考えられます。
しかし、もっと大事なのは、どんなリスクがあるのかを知ることです。事前に申し出れば主催者側でこちらのやりやすい状況に変えてくれることもあります。
もし、それができない場合は、リスクに備えた対策を講じて練習しておく必要があります。
会場を知る
スピーチ会場の確認はとても大事です。初めての主催者の方は、スピーチ中にマジックをするとは思っていないので、特別な準備はしていないことがほとんどです。
ですが、先ほどの例のように、屋外である場合は、例え屋根付きであっても、風の影響は計り知れません。屋外の場合は、シルクを使ったり薄い紙を使ったりするマジックはお勧めできません。金属製のリング、固いボード、太めのロープなど風の影響を受けないものがベストです。
さらに、屋根がない場合は濡れても大丈夫なものをセレクトする必要があります。また、観客の状態がどうかを把握しておく必要があります。
お祭り会場のような場合、子ども達が自由に動き回ることもしばしばです。興味のある物に近づいて、勝手にさわり、声をだします。「あっ!何これ?」とネタを取り出されたこともあります。
必要な場合は、主催者側にお客さんの動きを規制するようにお願いした方がいい会場もあります。
演台は最高の武器
講演など正式なスピーチを依頼された場合、演台があることが多いです。演台はマジックスピーチの最強の武器です。
ネタを堂々と隠し、自然にとってくることができます。かなり大きなネタも置いておくことができます。実際に演台上に置いておくことができるので、タネの持ち方の向きを間違ったり、タネがポケットの中でぐちゃぐちゃになることも防げます。
演台がある場合は、準備をお願いするとともに、実際にどんな演台なのかを見せてもらうようにしましょう。
さらにステージがあるのかないのかによってもやりやすさは変わります。ステージがある方が多くの観客から見やすいのでマジックスピーチにとっては効果的です。
また、会場の大きさもマジックの種類を決める上で大きな要素となります。体育館などの大きな会場でやる場合は、常に最後方の席からでも確実に現象がわかる演目を意識しましょう。
マイクに対する考え
できるだけマイクは使用した方がいいと考えています。マジックスピーチとは基本スピーチですから、話が聞きづらい状況は最も避けなければなりません。
会場が小さいからといって、マイクなしで大きな声で話す方がいますが、これでは声の抑揚であったり、息づかいなどが伝わりにくくなります。
ただし、マイクを使う場合、マジックの演目によってはやりにくいことがあります。
特にピンマイク系は体にネタを隠す場合は引っかかったりするリスクがあります。
スタンドマイクの場合は、演技するときと話すときの動きを工夫する必要があります。はじめの頃は、モップなどをスタンドマイクに見立てて練習しました。
もし、どうしてもしゃべりながら演技したいときはヘッドセットのマイクを使用することもありですが、それは大企業の新製品発表のようなスタイルのスピーチに限った方がいいのではないかと思います。なぜなら、観客は「なぜ普通のマイクを使わないのか」と違和感をもってしまうからです。
最適な服装
マジックスピーチではマジックがメインではありません。しかも、スピーチの中で突然マジックをするから効果があるという側面もあります。であれば、マジシャンのようないかにも怪しい服装はNGです。
演台などがない場合は、自分の体に隠しておかなければなりません。資料や指示棒を取り出すときにポケットからネタを取り出すという手法もよく使います。
マジックの種類にもよりますが、何かを出現させる場合には、普通にスピーチする背広やジャケット、ズボンに何らかの仕掛けを作っておく必要があります。
服の色は、マジックによって多少考慮しなければなりませんが、あくまでも普通の背広やジャケットなどを基本としてください。服装で怪しさを感じさせてしまっては、マジックスピーチの効果が低下してしまいます。
まとめ
今回は、マジックスピーチをする際に「事前に会場を確認し、それに応じた対策を講じる」ことの大切さと具体的な配慮点などについてお話ししました。
必要な会場に関わる事前確認
- スピーチ会場を確認する
- 演台の使用可否とその形状を把握する
- マイクを使用する場合の練習をする
- 会場に応じた服装を考える
野球でも、事前に芝の長さや滑り具合、土の硬さやボールの弾みやすさ、何時くらいにどの方角が太陽と重なるかなどを事前に確認します。マジックスピーチも全く同じです。
事前に会場に関するリスク管理を十分に行えば、そのマジックスピーチは成功したのも同然です。