マジック集

簡単なのにビジュアルで超不思議なマジック!「空中から光」

 このマジックとの出会いは、30程前の大阪のマジックショップでした。とにかく衝撃でした。お店の方は、いきなり空中から赤い光をつまみとったのです。しかし、ふっと息を吹きかるとその光は消えて、また現れて。右手の光がいつの間にか左手に飛び移り…。至近距離で見ていたのにも関わらず私には何もわかりませんでした。それどころか夢を見ているような感覚と不思議さに心がしびれたのを覚えています。

光の出現

 数あるマジックの中でも私にとってベスト5に入る素晴らしいマジックです。とにかくいきなり光が現れるのですから。知らない方には、タネを知る前に、まずこのマジックの現象を見てほしいです。

進化したサムチップ

 「ハンカチの出現!」のマジックでサムチップについてお話ししました。30年ほど前にこのマジックをはじめて見たときも、サムチップの存在は知っていましたが、それは小物を出現、消失、変化させる道具でした。まさか、光を取り出す道具にもなるなんて思いもよりませんでした。

指先にLEDライトが!

 仕組みは極めて単純でした。サムチップの親指の腹側にLEDライトが仕込んであり、つまむ動作で親指と人差し指で押さえるとスイッチが入りライトが点灯します。逆に押さえている指をはなすとスイッチが切れて消灯します。仕組みはただこれだけです。

このマジックのタネは、親指と人差し指でつまむ、はなすのみです。多分、道具を手にした多くの方が10分もすれば簡単な演技はマスターすることができます。超おすすめのマジックです。ただし、鏡を見て、必ず演技練習をしてくださいね。

解説

使用する道具

 LEDライトが仕込まれたサムチップが1つあれば演技可能です。ですが、より不思議に見せるためには左右の両親指に装着して演技することをお勧めします。そうすると光が左手から右手に飛び移ったり、右耳に入れた光が左耳から出てくるなどの演技ができるようになります。

昔は赤い光しか販売していませんでしたが、現在は白、黄色、青、緑など様々な色のものが販売されていますので、自分の演技のイメージに合うものを使用されるとよいと思います。1個で複数の色を出せるものも販売されていますので、自分のストーリーに応じて使用することもできます。

また、現在は、ボタン電池タイプの他に、充電タイプのものも販売されていますので、本番の電池切れによる失敗の可能性も減りました。

セットアップ

 演台がある場合は、演台の上に置いておくだけでいつでも演技可能です。演台のふちでサムチップの存在はわかりません。原稿をめくったりするタイミングなどで装着すればよいでしょう。ただし、サムチップの前後やどの程度押せば点灯するかなどはスピーチ前に十分に確認しておきましょう。

演台がない場合は、はじめから親指に装着しておかなければなりません。ここで気をつけなければならないのは、サムチップを装着しているのを忘れないことです。忘れると、自分の意図しないタイミングでいきなりライトが点灯することがあります。慣れてくるとその状況から演技に移ることもできるのですが、避けたい状況です。

ボードに原稿などを挟んで話すのであれば、ボードの原稿の面にサムチップをセットしておき、使用したい場合にボード越しに装着するという工夫もできます。

  • 演台の上に置いておき、自分のタイミングで装着する
  • スピーチのはじめから両親指に装着しておく(リスクがありますので十分練習が必要)
  • ボードなどを使用する場合はそこにセットしておくことも可能

演技

確認

 どのタイミングで演技に入るのかはスピーチによります。私は、保護者会で「子どものやる気スイッチ」について話をしたときには、スピーチの中盤から演技に入り、そのまま結論(最後)まで続けます。ただ、最初から親指に装着しておかなければならない状況の場合は、リスクを回避するためにも、はじめから演技に入る方が無難かもしれません。

また、演台が使える場合は、演台の影で装着し、サムチップの向きやスイッチの加減などを確認した方がよいです。演台の縁があるのですからそのメリットを生かしましょう。観客は何をしているかはわかりません。ですが、じっと見ていてはやはり不自然です。チラッと見るようにやってください。これも、マジクスピーチを成功させる練習の一つです。

光をつかむ!

 さあ、スピーチの中でちょうど光を取り出すタイミングが来たら、

  • 親指をサムチップの少し奥まで入れ、スイッチが入りやすいポジションにずらす
  • 光を取り出したいところに視線をもっていく
  • 「おやっ?」っという表情でつまむように中でスイッチを押して点灯させる
  • 自分も驚いてまじまじと光を見つめる
  • ふっと息をかけると消える(「えっ!光どこに行った?」という演技をする)

あとは、自分のスピーチに応じて様々な演技をしてください。指から指への光の移動や食べた光がおなかから出てくるなど、様々なことができます。詳細は私のユーチューブチャンネルで様々な演技をしていますので参考にして頂ければありがたいです。とにかくこのマジックは技術というよりも、実際に光が現れた驚きや感動、視線や体の向きや表情などの演技によって観客は魔法にかかった錯覚に陥るのです。

留意点

 このマジックは、広すぎる会場や明るすぎる会場にはむいていません。観客にとって、光を認識できる状態でなければ効果が激減するからです。現在は、高輝度LEDの物も販売されているので、学校の教室程度でしたら十分に演技可能です。しかし、ホールや体育館などの場合は、真ん中から後ろの観客にはわからないことが多いです。会場の最後尾から自分でビデオ撮影し、可能かどうかを判断してください。

私は、初心者の頃、マジックとして体育館でこれを使って演技したのですが、知り合いから「何してたの?」と言われて、愕然とした苦い経験があります。

まとめ

 成功させるために以下の点を十分確認してください。

  • 電池の有無、充電の確認
  • サムチップの向きの確認(逆に装着するとうまくスイッチを押せなくなります)
  • 親指をどの程度入れて、どの程度の力で押せば点灯するのかの確認
  • ストーリーに応じた演技練習

 効果抜群の簡単なマジックです。だからこそ、事前準備と演技練習をしっかりと繰り返し、最高のマジックスピーチを楽しんでくださいね。

  • この記事を書いた人

なんでやねんゴロー

 教師歴37年。マジック歴23年。
多くのイベントや各種施設で『ステージマジック』を中心に演じてきました。はじめは,お客様が驚き楽しんでくれることが喜びだったのですが,徐々にお客様から『やる気』や『感動』をもらっている自分に気づいてきたのです。
「『マジック』というこんな素晴らしいツールをスピーチに取り入れてみたらどうなるのだろうか?」という素朴な疑問からスタートしたマジックスピーチ。その絶大なる効果と成果に私自身が一番驚いています。

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