マジック集

簡単にできてインパクト抜群のマジック「つながる紙」(メッセージの出現)

 このマジックは、バラバラの紙が1つにつながるという現象とともに、観客に強烈なメッセージを伝えることができます。もちろん、メッセージは自作できますので、スピーチの最後のクライマックスに自分が伝えたいメッセージを印象付けることができます。自作するのには少し時間はかかりますが、スピーチの中で演じる際は、細かい技術を要しないのでストレスの少ないマジックです。マジックスピーチに取り入れるにはもってこいの応用範囲の広いマジックです。

紙がつながる

 「バラバラに切られた小さいトランプを重ねていくと1枚の大きなトランプになる」「バラバラの新聞紙が復活する」というマジックは古くから様々な方法が発表されており、マジックショップでも商品として売られています。

ただ、今回紹介するこのマジックがそれらよりも優れているところは、バラバラのものがつながったという不思議さだけではなく、「自分が伝えたいメッセージ」を伝えることができることです。紙の大きさは様々な大きさで作れますが、一般的にはA3のものが扱いやすくよく使われます。A3用紙の大きさは297×420mmなので8文字程度であれば1文字あたり10cm×10cm程度の大きさで表現できるので、かなり大きな会場でも、十分観客にメッセージを伝えることができます

紙がつながる原理

 もちろんバラバラの紙がつながるわけはありません。原理としては単純ですが、バラバラの紙と1枚の紙をすりかえています。

A3の用紙にメッセージを印刷した用紙を2セット用意します。1つを用紙①、もう一つを用紙②とします。①はそのまま均等に6等分に切ります。用紙①の1枚(写真では紙片aにあたるの部分)は、用紙②の裏の向かって左下に貼り付けます。また用紙①の1枚(写真では紙片b)の裏に磁石を貼り付けます。これは、つながって復活する用紙②と用紙①の束を磁石でくっつけてばらばらにならないようにするために使います。(下写真)

用紙②の裏面の左下の部分に用紙①の紙片aを両面テープやのりできれいに貼り付けます。さらに、裏面の右上の部分に磁石を付けます。ただし、この磁石は用紙①の紙片bの磁石とくっつくように磁石の極を間違えないように取り付けてください。(下写真)さらに、用紙②を表面が内側になるように真ん中から2つ折りし、それをジグザグに折り、1/6の大きさにします。このとき、一番上は、用紙①の紙片aを貼った部分、一番下には磁石を取り付けた部分がきます。つまり②の折りたたんだ大きさが、①の6等分に切った用紙と同じ大きさになります

 結局、①のばらばらの紙片を見せ重ねていき、最後に折りたたんで1/6の大きさにした②の用紙を重ねます。すると、磁石で全ての用紙がくってきます。上の②の紙を広げると、ばらばらの紙片がくっついて1枚につながったように見せることができるのです。

解説

使用する道具

 A3用紙に伝えたいメッセージを印刷します。使用する用紙は110kg(用紙の厚さはその用紙1000枚分の重さで表すのでkg表示されているそうです)程度のやや厚めのものが適しています。薄すぎると裏から透けて見えたり、すぐに破れてしまいます。また、分厚すぎると折りたたんだ時にかなりかさばってしまうだけではなく、1枚に見せられなくなるからです。

また、私は2か所に大きめの薄い強力なネオジウム磁石(私はDAISOさんの超強力マグネット23mm0.9in200ミリステラを使用しています。)を使用しています。つまり、指で押さえる部分を磁石の力も借りて固定し、バラバラの紙を落とさないようにできます。1つは、一番最初に見せるバラバラの紙の裏、もう一つは折りたたんだ②の紙の裏につけます。ただし、磁石の極をよく確認して磁石を貼らなければ逆に反発して紙が落ちたり、紙が大きくずれてしまうので要注意です。

セットアップ

 スピーチ会場で演台などがある場合は、重ねる順番に少しずらして置いておけばいいだけです。ただし、磁石を使用する場合は、かなり強力な磁石を使うので、紙をちょっとずらしてしまうとくっつくので注意してください。演台ではなく、普通のテーブルなどの場合は、机上に浅めの箱などを置いてその中に紙をセットしておけばOKです。下の写真の場合、左から右にだしていきます。

 問題は、演台がない場合です。ジャケットのポケットを使う場合は、少しインパクトは小さくなりますが、切った1枚の紙の大きさを小さくしたほうがポケットの中で扱いやすく、紙を取り出すときにも角が引っかかったり折れたりしにくいので演技しやすいです。自分のジャケットのポケットの大きさや深さなどによって決めるといいでしょう。私は、7cm×7cm程度がやりやすいと感じました。

磁石を使わない場合は、右ポケットにすべて入れておきます。磁石を使う場合は、同じポケットにいれてしまうとポケットの中でくっついてしまうことがあるので、左に3枚、右に3枚入れておきます。左は最初に磁石付きの紙を出すので磁石つきの紙、普通、普通の順に入れておきます。左のポケットから出すので、最初の3枚の用紙は右手に持ちます。そしてその3枚を左手に持ち変えて、右ポケットの3枚を出します。右ポケットからは最後に折りたたんだ磁石付きの紙を出すので、普通、普通、磁石付きの紙の順に入れておきます。これでセットアップは完了です。ただし、ポケットにひっかったりしてとりだしづらさがあるので、可能な場合はテーブルを利用しましょう。

演技

ちょっとした工夫

 実際にこのマジックを演じるとわかるのですが、最初に出した5枚の紙と最後に出した重なった紙の一番下を左手の4本指と親指で押さえる必要があります。そうしなければ、間の紙が落ちやすくなって失敗のリスクが高まります。また、一番上の折り重なった紙を引っ張るときに左手でしっかりと押さえておかなければ、うまく広がりません。また、引っ張る部分を探すのに時間がかかっていては、観客に「何か探してるぞ!」と思われます。

そこで上の写真のような工夫を施しています。左手の親指を入れる最後に出した重なった紙の一番下の上部にセロハンテープを折り返して貼って目印をつけるのです。こうすると、間違ったところに手を入れて紙が落ちたとか、紙が広がらないということを防げます。また、引っ張る一番上の部分にも同じくセロハンテープを折り返して貼ります。観客がかなり近くにいる場合は、かなり小さくした方がいいですが、3m程度離れているのであれば5~10mm程度の長さでも観客はまず気づきません。(写真の同じ色の〇どうしは同じ部分のテープを表しています)

演技の流れ

 このマジックはどの場面でも手軽に演じることができるのがメリットですが、最も効果を発揮するのがエンディングです。

切った5枚を軽く裏表見せながら左手に重ねていきます。最後の6枚目に②の裏に1枚貼ったものを一番上に重ねます。そのときに折りたたんだ紙を広げやすくするために、上の真ん中の写真の黄色〇の部分に左手の親指を、右端の写真の赤〇の部分を右手の親指と人差し指でつまみ、右手を下におろしながら右に開くようにすると、一番上の②の用紙が広がり、バラバラの紙がつながって1枚の大きな紙に戻ったように見えます。

以下は、受験を明日に控えた生徒たちへの激励集会でのスピーチ例です。

  • さあ、とにかく万全の体調で自分がやってきたことを信じて全力を出し切ってください。
  • それでは先生方からメッセージを贈ります。
  • といって、最初の紙片を取り出して左手に持って「合?」
  • 2枚目を取り出して表裏を見せて左手に重ねて「!?ビックリマーク?」
  • 3枚目を取り出して表裏を見せて左手に重ねて「格。 何かなあ」
  • 4枚目を取り出して裏が見えないていどにちらつかせて左手に重ねて「全?」
  • 5枚目を取り出して裏が見えないていどにちらつかせて左手に重ねて「モス?」
  • 6枚目を取り出し軽くちらつかせた後すぐに左手に重ねて「バ? モスバーガー!」*ここで紙の方をちらっと見て、左手の親指をセロハンテープの上に左手の親指を入れると同時に右手で引っ張るテープと紙を持つ
  • 一気に右手を下に引っ張り下ろし右にずらす紙を広げる「全員合格!バモス!」
  • 「さあ!行ってこい!バモス!」*といって手を挙げる

「よし!もう1回!『全員合格バモス!』」

「バモス!」(生徒)

「よし、みんなで拍手!」(体育館拍手の嵐)

留意点

 紙は消耗品なので何回も練習していくと破れたりもろくなっていきます。それを少しでも防止するため、写真で使っているものは裏からセロハンテープを貼って補強してあります。つながる1枚の紙は折りたたんであるので、回数を重ねるほど折り目から破れやすくなるので、ちょっとした手間にはなりますが、やっておいた方が長く使えます

 さらに効果的な演技方法を説明します。小さめのぬいぐるみやパペットなどを使用する方法です。ぬいぐるみなどを使うと、会場に安心感というか何となくほっとした雰囲気が漂います。しまも、スピーチする人ではなく、ぬいぐるみが話しているかのような演技も可能です。女性やお子さんがおられる場合はたいへん盛り上がります。きっと「ワッ!」という歓声が上がると思います。後日、私のユーチューブチャンネルで紹介しますので、ぜひ、参考にしてくださいね。

まとめ

 今回の記事では、バラバラの紙がつながって1枚となり、そこにメッセージが現れるというマジックを紹介しました。簡単なマジックですが、以下の点注意してよく練習してから演じてみてくださいね。

  • 紙を重ねていくとき、最後の重なった紙は裏を見せずに「最後は〇です!」という紹介くらいで素早く重ねる
  • 観客が近いときは、磁石の音が気になる場合があるので、磁石の間に指を挟むように音がならないように注意する
  • 最後の、紙片を左手で押さえるときや右手で引く紙を持つのに時間がかかったりもぞもそしていると効果が半減。左手で押さえ、右手で引いて紙を一瞬で開く練習をしっかりする。(一瞬で紙が復活するところがこのマジックの一番の見所です)
  • 観客の心に刺さる短いメッセージであればより効果的!

 スピーチのエンディングを締めくくるのにぴったりのマジックです。きっとあなたのスピーチの強力な武器になることと思います。

また、「つながる紙」を使ったこちらの記事も参考にしてくださいね。https://nandeyanen56.com/%ef%bd%8dorning-meeting/

 

  • この記事を書いた人

なんでやねんゴロー

 教師歴37年。マジック歴23年。
多くのイベントや各種施設で『ステージマジック』を中心に演じてきました。はじめは,お客様が驚き楽しんでくれることが喜びだったのですが,徐々にお客様から『やる気』や『感動』をもらっている自分に気づいてきたのです。
「『マジック』というこんな素晴らしいツールをスピーチに取り入れてみたらどうなるのだろうか?」という素朴な疑問からスタートしたマジックスピーチ。その絶大なる効果と成果に私自身が一番驚いています。

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