この記事では
「スピーチに簡単マジックをとりいれて、観客の心をつかむスピーチをしたいけど、スピーチのどの場面で演じれば効果的なのかがわからない」
と悩んでいるあなたの悩みに応えます。
私も、簡単マジックをとりいれたスピーチ方法(私はこれをマジックスピーチと呼んでいます)を始めた頃は、どの場面のどんなタイミングでどんなねらいでマジックをセレクトすれば効果的なのかがわからず、試行錯誤を繰り返してきました。
この記事では、「いつマジックスピーチをするのか?」という観点から、私のマジックスピーチの実践経験の積み重ねから得たことを余すことなくお伝えします。
読み終えていただければ、スピーチの3つの場面ごとに「簡単マジック」を取り入れる効果の違いや演じる側の心構えやメリット、演じる上での留意点などがわかり、今までよりも観客の心をつかむマジックスピーチをすることができるようになります。
スピーチを3つの場面にわけることが大事!
人前でスピーチをするとき、必ず「伝えたいこと」があるはずです。それを効果的に伝えるためにスピーチの構成を考えますよね。よく『起承転結』に分けることが多いですが、私のおすすめは『序論』『本論』『結論』の3つの場面に分けることです。
『序論』とは話の導入、あるいはメッセージ紹介、もう少し役割を与えるとするならば「つかみ」の部分となるでしょうか。
『本論』とは自分の体験や具体例を示し、根拠を挙げながら結論を裏付ける流れをつくる部分です。起承転結では『承』と『転』をあわせた部分です。
『結論』とは、そのスピーチで最も伝えたいメッセージを紹介する部分です。
30分以上の長いスピーチなら起承転結の方がふさわしいかもしれませんが、自己紹介や結婚式の挨拶、朝礼などの10分前後程度のスピーチは、『序論』『本論』『結論』の方がやりやすいと私は考えています。
簡単マジックを取り入れて観客の心をつかめる理由
簡単マジックを取り入れたスピーチ方法のことを私はマジックスピーチと呼んでいます。スピーチにマジックを取り入れると、聴覚だけの刺激に加えて、視覚からの刺激も観客に与えることになります。しかも、日常では見られない現象が観客の心にギャップを起こします。
この視覚からの刺激と現象のギャップが大きければ大きいほど、観客は驚き、不思議に思い、喜びます。つまり、観客の心をつかむのです。
スピーチに簡単マジックを取り入れる方法は、しゃべりだけの方法よりも効果的にメッセージを伝えることができます。スピーチ中にマジックをするとは思っていないからなおのことです。
しかし、強烈であるが故に、使い方を誤るとスピーチ自体を食ってしまう可能性があります。
せっかくのスピーチで伝えたいメッセージががかすんでしまい、「マジックを見た!すごかった!」という、マジックショーを見た観客と同様の状態になってしまうのです。
そうなってしまえば、話のねらいを伝えるというスピーチとしては失敗です。つまり、各場面で何のために『マジック』を取り入れ、どういう効果を期待するのかということをあらかじめ明確にしておかなければ失敗スピーチとなる可能性もあるのです。
各場面ごとのメリットとデメリット
では、『序論』『本論』『結論』の各場面で『マジック』を取り入れる際に気をつけなければならないことはどんなことでしょうか。。各場面で演じる特徴や効果とデメリットなど意識すべき点などを紹介します。
『序論』での効果
やはり『序論』で演じる一番のメリットは、スピーチの最初に観客の心をつかむことができる点です。言い換えれば自分に心を開いてもらうことができる最高の場面が『序論』です。
漫才でも、ステージにでてきた最初に一発大きなボケをかまして観客の心を開いてからネタに入っていくパターンがありますよね。それと同じです。観客の心が開いているかそうでないかによって、その後のスピーチへの食いつき具合や興味関心は全く違っています。
自分を知っていて、自分の話を楽しみにしてくれている観客ははじめから楽しみにしてくれていますが、初めての場合は最初に観客の心をつかみ、会場の雰囲気をオープンにしておくと、そのスピーチは7割成功したも同然です。
そういう意味で『序論』で演じる効果は絶大です。しかも、目的が観客の心をつかむことなので、スピーチで一番伝えたいメッセージと関係のない『マジック』でも使えるのが大きなメリットです。
さらにいえば、『結論』に向けてのつかみにも使えます。一度『マジックの現象』を見た観客は、心のどこかで「また、マジックをやるのではないか?」という期待をひそかにもっています。
「ああ、やっぱりもうしないのか」と観客が感じた『結論』部分で、スピーチの核心となるメッセージと連動した『マジックの現象』を演じると効果抜群です。
ただし、デメリットもあります。マジック後のつなぎを上手にしていかなければ、「あの人、目立ちたかっただけか?」となってしまいます。
特に話の本筋に無関係のマジックほどその危険性があります。そういう場合は、「いやー、緊張しました!みなさんの大きな拍手のおかげで勇気が湧きました。これで思い切って話せます!」などと笑顔で話を本題に切りかえるなどの方法をとるのもいいでしょう。
『本論』での効果
『本論』ではつかみのためだけの話の流れと無関係のマジックをすることはできません。つまり話しの内容にそったマジックのセレクトが必要となります。観客にとって「ああー、これを伝えたいからこのマジックをしたんだ」と思ってもらわなければなりません。
『本論』の性格上、具体例や根拠を示していくスピーチの趣旨に沿った補助的なマジックが理想です。ここで、あまりに大きな現象をいれてしまうと、具体例や根拠がかすむだけではなく、結論への流れを分断することになります。
つまりそのスピーチの肝心なメッセージが伝わらなくなる可能性があります。あくまでもマジックスピーチでの『マジック』は、そのスピーチのメッセージを効果的に伝えるためのツールであるということを忘れないようにしましょう。『本論』で演じる際は、その危険性が最も高くなると意識してください。
ただし、具体例と連動するストレスのない小さい演技を連続で入れていくとか、根拠を明確に示すためにマジックの現象を取り入れていくと、うまく『結論』への流れをつくることができます。あくまでも『本論』で演じる場合は、『結論』にむけてうまくつないでいく、観客の心を徐々に盛り上げて開いていくということに主眼を置くべきです。『結論』というクライマックスに向けて、縁の下の力持ち的に演じることが大切です。
『結論』での効果
『結論』では、最も大きな効果が期待できます。そのスピーチの一番のメッセージになる部分を『マジック』で演じるのです。具体的には、メッセージが書かれたシルクを取り出したり、メッセージが伝わる実物を取り出したり、新聞紙にメッセージが現れたりなど、マジックスピーチの威力が存分に発揮できます。
物体を出現させる場合は、ダイレクトにスピーチの核心を突くことができるので、確実にメッセージを伝えることができます。
さらに、ショーのエンディングを見たような錯覚をもったままスピーチが終わるので、「このスピーチを聞いて良かった!面白かった」と観客の心を完全につかむことができるのです。
具体的な物体の出現だけではなく、逆に物体が消えたり、色が変わったり、ある現象が続いたりすることによって、「一度失敗しても立ち直れるのです」とか「続けることが大事」とか「変わることは悪いことではない」というような強いメッセージを現象で表現することもできます。
ただし『結論』でおこなうデメリットも当然あります。強烈なインパクトがあるがゆえに、マジックのセレクトを誤った場合、演技自体は成功し観客も拍手してくれたとしても、肝心のメッセージが伝わらない大失敗スピーチとなる可能性があります。
また、マジックには必ずネタ(仕込み)があります。それを最後の最後にうまくわからないように準備し、成功させることができるかという大きなストレスを抱えたままスピーチを続けることになります。『序論』でマジックを演じる際は、はじめから準備し、手に隠し持っておくこともできます。
しかし、エンディングではそうもいきません。最も効果的な場面ですが、最もリスクのある場面だといえるでしょう。ですから、3つの場面の中で、一番練習が必要な場面ともいえます。
ただ、マジックスピーチに挑戦しようと考えたのであれば、『結論』でのマジックにぜひ挑戦してほしいです。絶大なリターンにあなたも驚くことでしょう。
まとめ
この記事では、簡単マジックを取り入れて観客の心をつかむスピーチをするために、スピーチを3つの場面に分けることの必要性や各場面で簡単マジックを演じる際のメリット、デメリット、意識しなければならない注意事項等について説明しました。この記事を参考にマジックスピーチを実践していけば、観客の心をつかむだけではなく、あなた自身も達成感、満足感に包まれます。
- スピーチを「序論」「本論」「結論」の3つの場面に分ける
- 各場面でのメリット、デメリットを理解する
- はじめのうちは「序論」でスタートするのが無難
- 結論で大きな効果を体験するのがマジックスピーチの最大の魅力