このマジックはとにかくインパクトがあります。ぺらぺらの折りたたまれた紙袋からワインボトルが出現するのですから。様々なスピーチに利用することができますが、送別会やデートでワインボトルを出現させるというのがお勧めです。ボトルの出現はいくつかの方法がありますが、今回は比較的簡単にできる方法を紹介します。
ボトルの出現
とにかくペラペラの折りたたまれた紙袋や封筒から本物のワインボトルがでてくるのですから観客は驚愕します。
もちろん、ペットボトルやプリングルスのような筒状の容器に入ったスナック菓子、その他の小物も出現させることができます。
しかし、私はワインボトルや720mlの瓶入りの日本酒や焼酎などが好きです。出現させた後に指輪やコイン、マジックウオンドなどでボトルをたたいて、カーンという音を出すと、さらにマジックに不思議さをプラスできると思うからです。その点、ペットボトルだと少し物足りない感じがします。
ボトル出現の原理
ここでは紙袋に仕掛けがある簡単にできる方法の原理を紹介します。
紙袋の片面の真ん中付近に12cm程度(下の写真のボトルの場合)の切れ込みを入れます。結局は、袋内から手を入れ、切れ込みから手を外に出せるようにするのです。その切れ込みからジャケットの内側に仕込んであるボトルをつかんで取り出すわけです。
切れ込みでなくて大きな穴を開けておく方法もありますが、裏を全く見せることができません。切れ込みであると少し、折りたたんであった袋を開く段階で軽く袋の裏表を見せることができるのでよりマジックらしい不思議さが演出できます。裏を見せなければ、観客の心の中には「どうせ裏に穴があいているんだろ」という気持ちが残るようです。
解説
使用する道具
ボトルとボトルの保持
ボトルは、通常のワインボトルやシャンパンボトルぐらいがやりやすいでしょう。一升瓶も大きな袋を使えば不可能ではないと思いますが、一升瓶を保持しておくのに苦労しますし、また、ジャケットのふくらみが目立つ可能性があります。
また、マジックショップでは、ボトルをジャケットの内側に保持するための専用のホルダー(ほとんどのものはベルトに通してボトルを保持できるようにしてあります)が売られています。
しかし、ホルダーがなくてもズボンとシャツの隙間にはさんでおけば大丈夫です。(下写真参照)体型によっては、その方がボトルが体に密着し、ボトルによるジャケットの膨らみがほとんど気にならないようになります。右利きの方は、だいたい、左前にボトルを挟む方が多いです。
ただし、かなり痩せている方は、きつめのズボンを選ぶかベルトをきつめにしめるようにしてください。私は、演技前に、挟んであった隙間からボトルがズボンの左足の間から滑り落ちて、ボトルが割れるという最悪の事態になったことがあります。
紙袋
写真の紙袋は320×160×65mmの紙袋です。これよりも一回り大きい、350×180×105mmか400×195×120mm程度の袋の方が、体をカバーできる面積が大きいのでばれにくくなります。ただし、小さい袋から出てきた方がインパクトはあるでしょう。
TVで前田知洋さんが2lのペットボトルを取り出していた時には、かなり大きい紙袋を使用していました。取り出すものの大きさに応じた紙袋を使用してください。
この紙袋を4つ折りにします。そして、袋の内側にカッターマットや段ボールを入れ、真ん中の折り目に沿って、約12cmの切れ目を入れます。これは、定規を使って、折り目と一致するようにカッターで切れ目を真っ直ぐに入れます。ここが軽く裏返しても切れ目が目立ちにくくなるポイントです。下の写真はA,Bとも切れ目が入っているのですが、Bの方はわかりにくいですね。
セットアップ
ボトルをホルダーかズボンとシャツの間にセットします。演技前は、ボトルを左奥側にセットし、まっすぐに立てておきましょう。これは、体の動きとともにボトルがずれて、ジャケットから出るのを防ぐためです。また、左前にセットしたときは、自分から見て右側の観客から見えやすいので、少し、体を右向けて立ち、演技する方がいいです。
紙袋は、折りたたんで輪ゴムで止めるなどして、ジャケットの内側のポケットか右下のポケットに入れておきましょう。左に入れるとどうしても体が少し左向きになりボトルが見えるリスクが高まります。
演技
確認
前章のセットアップをしっかりと確認しましょう。また、折りたたんだ紙袋を開いて素早く回転させる練習もしておきましょう。紙袋をぴんとのばさず、折り目の部分がやや折れた状態で回転させると、切れ目が目立ちにくくなります。
次に、紙袋の切れ目のある側を自分の体の方に向けた状態で、スムーズに紙袋からボトルを取り出します。
ジャケットの上から左手上腕で脇を締めるようにするとボトルの口の方が少し傾きます。さらに、紙袋の上部を持った右手の親指でボトルをさらに傾けると、ボトルの上部が紙袋の切れ目の裏あたりにきます。(下写真参照)。この操作がうまくできると、切れ目のすぐ裏にボトルがあるので、スムーズに紙袋からボトルが出てきたように見せることができます。ボトルを傾け、紙袋の裏に移動させなければ、かなり手を奥に入れてもぞもぞすることになります。場合によっては左の方のジャケットが動いているのがわかることがあります。ぜひ、練習してください。
演技
このマジックは、オープニングでおこなうことが多いです。やはり、重い物、しかも割れる可能性があるガラス製品をずっと保持しながら別の演技をするというのはリスクが高いからです。マジックスピーチで行う場合もできるだけはじめの方でやった方が無難でしょう。
さあ、「この紙袋に入っているものをあなたに送ります!」といって
折りたたまれた紙袋を胸ポケットかジャケットの右ポケットからだす(体は少し右向き)
- ぺちゃんこであることを示した後、紙袋を回す(穴を開けた場合はぺちゃんこであることだけを示す)
- 紙袋の上をやや右側に倒すように保持し、左前腕でボトルの口を傾け、紙袋を持った右手の親指でボトルを切れ目の後ろに移動させる(下の写真のとき紙袋の後ろで親指でボトルを傾けています)
- 紙袋に手を入れて、ボトルの頭をつかみ、一気に引き出す
- 出てきたボトルを指輪やコイン、マジックウオンドなどで軽くたたき、本物のガラスボトルであることをアピールする
- 「さわってみます?」といって、ボトルを相手に渡す(その間に紙袋は折りたたんでポケットにしまう)
やってみるとわかりますが、紙袋に袖が引っかかるとボトルを取り出しにくくなります。「袖に何かかくしているんだろ?という人もいるので、袖をまくります。」などといって袖をまくった方が演技はしやすいです。
やはりこのマジックの大事なところは、2⃣3⃣のボトルを出すところです。あたかも最初から紙袋に入っていたかのようになめらかな動きで取り出せるように練習しましょう。ここで、もぞもぞして時間がかかっていたり、手を奥に入れすぎてしまうと怪しまれます。
多くの人は、ボトルが出現して驚いています。送別会などでやる場合は、あなたは周囲の反応に構わず、メッセージを言ってボトルを渡してしまいましょう。そして、紙袋を折りたたんでポケットに堂々としまいましょう。
留意点
前章の4⃣でボトルを軽くたたくという演技を入れていますが、これは音が効果的だからです。特に、金属系の物で軽くたたくとカーン!といういい音がして、「何もないぺちゃんこの袋からこんなガラスのワインボトルが出てきた!」という現象を強調できます。
また、これは私がマジックスピーチでよくやったのですが、ワインのラベルを自作し貼っておきました。「祝卒業!」とか「全員合格!」とか、書く内容は様々です。
市販のものをもらうだけより、何か自作した部分があると喜ばれます。後で聞いた話ですが、送別会で渡したワインボトルを今も部屋に飾っているという話を聞きました。これは、私もうれしかったです。
まとめ
今回の記事では、空の紙袋からワインボトルがでてくるというマジックの解説をしました。以下の点に注意して練習してから演じてみてください。
- セットアップと事前の確認を丁寧に
- 「ワインボトルの出現」はオープニングに向いたマジック
- 紙袋に手を入れて取り出すところがこのマジックの一番の肝!スムーズに取り出せるように練習を!
- ラベルを自作し、メッセージを書くと送別会の贈り物にもぴったり
マジックショーのオープニングにもってこいのマジックですが、送別会等でのマジックスピーチでも効果を発揮します。デートでプレゼントを渡すときにも使えますね!